ゼロクリック時代、自社サイトはもう不要?|"訪問されないサイト"が持つ4つの価値
「検索エンジンもAIも、ソーシャルも、自社サイトに人を送ってくれなくなった。
それなら、もうサイトに力を入れなくてもいいのでは?
ゼロクリックが当たり前になりつつある今、こんな疑問を持つ方も増えています。
この問いに対して、ゼロクリックマーケティングの提唱者として知られるSparkToroのランド・フィッシュキン氏は、はっきりと「それでも自社サイトは必要だ」と答えています。
しかもその根拠として、自社サイトを一から作り直すという投資まで行っています。
今回は、アクセスが減っても自社サイトが必要な理由を、フィッシュキン氏の見解をもとに整理します。
「集客の場」から「信頼とブランドの中心地」へと変わりつつある、自社サイトの新しい役割を確認していきましょう。
なぜ「自社サイト不要論」が出てくるのか
まず前提として、検索からサイトへの流入が減っているのは事実です。
SparkToroとSimilarwebの調査によると、2026年1〜4月の米国のGoogle検索では、約68%がクリックなしで終了していました。
1,000回の検索のうち、オープンなweb上のページに届くクリックは276回ほどで、2年前の374回から大きく減っています。
AI Overviewsやインスタント回答、検索結果内にユーザーをとどめるUIなどによって、検索エンジンが”壁に囲まれた庭(walled garden)”になりつつある、というわけです。
フィッシュキン氏も「SEOは以前と同じか、それ以上に重要。
ただし、かつてのようにトラフィックをもたらす形では機能しない」と述べています。トラフィックが減っても売上が伸びることはあり得ます。
つまり問題は「サイトが不要になったか」ではなく、「サイトの役割が変わった」ということです。
では、その新しい役割とは何でしょうか。
それでも自社サイトが必要な4つの理由
フィッシュキン氏は、自社サイトへの投資を続ける理由として、次の4つを挙げています。
1. コンテンツの”恒久的な本拠地”になる
記事・動画・サポート情報など、自社のコンテンツがいつでも安定して存在する「本拠地」が必要だという考え方です。SNSやAIに情報を配信する場合でも、大元となる中心地がなければなりません。
逆に、情報を第三者のプラットフォームに分散させるだけで中心となる場所を持たないと、古い情報や誤った情報が拡散されるリスクが高まります。
2. AIに正確な情報を供給する場所になる
これは特にAI検索時代で重要な視点です。
AI Overviews、Google AI Mode、Gemini、Claude、ChatGPT、Perplexityなどの主要なAIは、ウェブ上の情報をクロールして回答を生成しています。その参照元として、自社サイトが機能します。
フィッシュキン氏は、自社に関するAIの回答が間違っていたことがあり、その原因が古い情報を参照していたことだったと明かしています。だからこそ、サポート情報などを最新かつ正確に保つために、サイトへ投資したといいます。
■ AIが古い情報を参照し、誤った回答を生成する
■ その誤情報がAI経由で多くの人に拡散される
■ 情報が第三者サイトにしかないと、内容をコントロールできない
自社サイトを最新に保つことは、AIに正しく理解してもらうための情報管理でもあるのです。
3. コンバージョンが起きる最終地点になる
認知や情報収集が他のプラットフォームで行われても、実際に購入・契約するときには、ユーザーは自社サイトを訪れます。
そしてその購入体験の質が、ブランドへの印象や、購入を最後までやり遂げるかどうかを左右します。コンバージョンという最も重要な行動が起きる場所である以上、サイトの価値はなくなりません。
4. ブランド体験を100%コントロールできる唯一の場所になる
デザイン、色、フォント、言葉のトーン——こうしたブランドの世界観を完全に自分でコントロールできるのは、自社サイトだけです。
AI Overviewsや他人のSNS投稿の中では、自社をどう見せるかを細かく制御することはできません。「自分たちが何者で、何を提供し、何を提供しないのか」というポジショニングは、自社サイトを中心に発信されます。
「訪問数は減っても、影響力は減らない」
フィッシュキン氏の主張の核心は、「訪問は減るが、サイトの影響力は同じ」という点にあります。
サイトに掲載した内容は、AIツールや検索を通じて、実際にサイトを訪れる人よりはるかに多くの人へと届いています。表示回数(インプレッション)は増え、クリックは減る——この状態でも、インプレッションは人々の認識に影響を与え続けています。
だからこそ、アクセス数だけでサイトの価値を判断するのは危険だといえます。評価すべき指標が「訪問数」から「影響力」へと移りつつあるのです。
AI時代の差別化は「人間らしさ」
もうひとつ、フィッシュキン氏が挙げているのが「人間らしさ(weird and human)」という視点です。
AIによって情報が均一化していく時代だからこそ、自社サイトを通じて人間味や独自の個性を打ち出すことが、強力な差別化になります。AI Overviewsや各種AIツールの中では、こうした”人間くささ”は表現しにくいからです。
実際にSparkToroは、サイトを訪れた人に「このサイト、AIっぽくないね」と感じてもらうことを狙って、あえて個性的なデザインや表現を選んだといいます。
まとめ
ゼロクリック時代における自社サイトの役割について解説しました。
■ サイトは「コンテンツの本拠地」であり「AIへの正確な情報供給源」
■ コンバージョンとブランド体験は、今も自社サイトが中心
■ 評価軸は「訪問数」から「影響力」へ移りつつある
■ AI時代は「人間らしさ」が差別化になる
自社サイトの役割は、「大量に人を呼び込む場所」から、「信頼できる情報源とブランド体験の中心地」へと変わっています。アクセス数の増減だけで一喜一憂せず、AIにも人にも正しく伝わる中心地として、サイトへの投資を続けることが大切です。
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