GoogleがAI Overviews・AI Modeに広告掲載を拡大|検索広告の「次の形」がSEOにも影響する理由
Googleは2025年を通じて、AI検索機能への広告掲載を段階的に拡大してきました。
5月のGoogle Marketing Liveで発表されたAI Overviewsへの広告掲載は12月までに12ヶ国に展開。さらに、AI Modeでも米国で広告のテストが開始されています。
この記事では、AI検索における広告掲載の現状と、オーガニック検索(SEO)を中心にサイト運営を行っている方への影響を解説します。
AI Overviews広告の展開タイムライン
AI Overviewsへの広告掲載は、以下のように段階的に拡大してきました。
2024年10月 米国モバイルでAI Overviews内の広告テストを開始
2025年5月 Google Marketing Liveで正式発表。デスクトップにも拡大
2025年5月 AI Modeへの広告掲載テストも発表
2025年後半 英語圏を中心に段階的にグローバル展開
2025年12月 AI Overviews広告が12ヶ国で利用可能に(米国・英国・カナダ・オーストラリア・インド・インドネシア・ケニア・マレーシア・ニュージーランド・ナイジェリア・パキスタン・フィリピン・シンガポール)
なお、2025年12月時点では日本はまだ対象外です。ただし、AI Overviewsの上部・下部に表示される通常の広告は、AI Overviewsが利用可能な200ヶ国以上すべてで表示されています。
AI Overviews広告の仕組み
AI Overviews内の広告には、従来のリスティング広告とは異なる特徴があります。
広告が表示される場所
■ AI Overviewsの上部(全200ヶ国以上で表示)
■ AI Overviewsの下部(全200ヶ国以上で表示)
■ AI Overviewsの内部(回答の中に統合)(対象12ヶ国のみ、英語のみ)
特に注目すべきは、AIの回答の中に広告が統合される形式です。ユーザーの質問とAIの回答内容の両方を考慮して、文脈に合った広告が表示されます。
広告配信の仕組み
Googleの公式ドキュメントによると、AI Overviews内の広告は以下のように配信されます。
■ 既存のオークションランキングシステムとシグナルに基づいて配信
■ ユーザーのクエリとAI Overviewsの回答内容の両方を考慮して広告を選定
■ 検索・ショッピング・Performance Max・アプリキャンペーンの広告が対象
■ AI Overviews専用の入札や配信設定はまだ存在しない
■ 医療・金融・ギャンブル・政治などのセンシティブな分野では広告非表示
具体例
例えば、ユーザーが「なぜプールの水が緑色になるのか、どう掃除するか」と検索した場合、AI Overviewsは藻の発生原因やクロリン処理の方法を回答します。
この回答には直接的な購買意図はありませんが、AIが回答の文脈から「プール掃除機」の広告を関連性があると判断し、表示する可能性があります。つまり、ユーザーの「次のステップ」を先読みした広告が表示される仕組みです。
AI Mode広告の現状
AI Modeへの広告掲載は、AI Overviewsよりさらに先進的な試みです。
- AI Mode広告の現状(2025年12月時点)
- ■ 米国でテスト中。一般の広告主が直接ターゲティングすることはまだできない
■ 広告はAI Modeの回答の下部に統合される形で表示
■ 会話全体の文脈を読み取り、文脈に合った広告を表示
■ AI Mode専用のレポーティングやパフォーマンス指標はまだ提供されていない
■ Googleは「プロダクト・マーケット・フィット」を優先して確認中と表明
GoogleのQ4 2025決算発表(2026年2月4日)では、検索広告収入が前年同期比17%増の631億ドルに達したことが報告されました。AI検索機能が広告収入を押し上げている構図が明確になっています。
AI Overviews広告の急速な浸透
AI Overviews内の広告は、2025年を通じて急速に浸透しています。
Semrush社の調査データが、その変化を明確に示しています。
- AI Overviews広告の浸透率(Semrush調査)
- ■ 2025年1月:AI Overviewsの検索結果に広告が表示される割合は約3%
■ 2025年11月:同割合が約40%に急増
■ AI Overviewsの下部に広告が表示されるケースは約25%
わずか10ヶ月で3%から40%へ。Googleが本格的にAI検索を収益化のエンジンとして位置づけていることがわかります。
SEO(オーガニック検索)への影響
ここからが、サイト運営者にとって最も重要なポイントです。AI検索に広告が入ることで、オーガニック検索にどのような影響があるのでしょうか。
1. オーガニック検索のスペースがさらに縮小
AI Overviewsだけでも検索結果の上部を大きく占有していましたが、そこに広告が加わることで、オーガニック検索結果が画面のさらに下に押し下げられることになります。
Botify × Demandsphere社の調査では、AI Overviewsと強調スニペットが同時に表示された場合、デスクトップで画面の67.1%、モバイルで75.7%がこれらの要素に占有されると報告されています。ここに広告が加わると、検索1位のオーガニック結果がファーストビューに表示されないケースがさらに増えることになります。
2. 商業的なクエリへのAI Overviews拡大
広告掲載の拡大と同時に、AI Overviewsが表示されるクエリの種類も変化しています。
■ 2025年初頭:ほぼ情報型クエリのみに表示
■ 2025年後半:取引型(商業系)クエリにも拡大(12.5%まで増加)
■ ナビゲーション型クエリ(ブランド検索)にも浸透(1%未満→10%超)
これは、Googleが購買意図のあるクエリでもAI Overviewsを表示し、その中で広告を展開するという戦略を進めていることを示唆しています。EC・物販サイトを運営している方は、今後の動向を注意深く見守る必要があります。
3. 「引用される」ことの価値が変わる可能性
AI Overviewsの回答に引用されても、同時に表示される広告にクリックを奪われるリスクが出てきます。広告はユーザーのアクションを促す設計になっているため、引用元のオーガニックリンクよりも広告がクリックされるケースが増える可能性があります。
ただし、AI Overviews内に引用されることで得られるブランドの信頼性・認知度向上の効果は変わりません。直接のクリック数だけでなく、ブランド認知を含めた総合的な価値として「引用される」ことを評価していく視点が必要になります。
サイト運営者が取るべき対策
広告掲載の拡大を踏まえた上で、オーガニック検索に取り組むサイト運営者がやるべきことを整理します。
① AI Overviewsの引用元として選ばれることを目指す
広告が増えても、引用されること自体の価値は依然として高い。E-E-A-Tの強化と構造化データの整備が基本。
② 商業系クエリでの競争力を高める
AI Overviewsが商業系クエリにも拡大している。商品・サービスに関する独自の比較データ、レビュー、一次情報が差別化になる。
③ ブランド検索での存在感を守る
ナビゲーション型クエリにもAI Overviewsが浸透中。自社ブランド名の検索結果でAI Overviewsにどう表示されているかを定期的にチェックする。
④ 指標をトラフィック以外にも広げる
ゼロクリック検索の増加に伴い、「サイトへの流入数」だけでは成果を測りきれなくなる。ブランド認知、AI引用頻度、コンバージョン率など、より多角的な指標を検討する。
⑤ 有料広告とオーガニックの両面戦略を検討する
AI検索での広告枠が拡大する中、重要なキーワードでは有料広告での露出も併せて検討する価値がある。特にPerformance Maxキャンペーンは、AI Overviews内の広告枠にも配信されるため注目。
まとめ
- この記事のポイント
- ■ AI Overviews内の広告が12ヶ国に拡大(2025年12月時点。日本はまだ対象外)
■ AI Modeでも米国で広告テストが進行中
■ AI Overviewsに広告が表示される割合は1月の3%から11月には約40%に急増
■ 広告はクエリ+AIの回答内容の両方をもとに文脈的に配信される
■ AI Overviewsが商業系・ブランド検索にも拡大しており、EC・物販サイトへの影響に注意
■ Googleの検索広告収入はQ4 2025で前年比17%増。AI検索の収益化は加速の一途
AI検索への広告掲載の拡大は、Googleにとって「AI検索を持続可能なビジネスモデルにする」ための必然的な動きです。
サイト運営者としては、この変化を悲観するだけでなく、AI検索の中で自社がどう露出できるかを戦略的に考えることが重要です。引用されること、ブランドの信頼性を高めること、そして必要に応じて有料広告も活用すること。オーガニックと広告の両面からAI検索に対応していく姿勢が、これからのSEO戦略に求められます。
AI検索への最適化の全体像は「LLMO・AIO・GEOの違いを徹底解説」で、AI Overviewsに引用される方法は「AI Overviewsとは?引用されるための7つの対策」で詳しく解説しています。