検索の60%はクリックされない時代に。ゼロクリック検索への対策方法を解説

「検索で1位を取っているのに、アクセスが増えない…」
そんな悩みを抱えるサイト運営者が増えています。その原因の一つが、「ゼロクリック検索」の増加です。
ゼロクリック検索とは、ユーザーが検索結果ページの情報だけで満足し、どのWebサイトもクリックせずに検索を終えてしまう現象のこと。AI OverviewsやFeatured Snippet(強調スニペット)の普及により、この傾向は年々加速しています。
この記事では、ゼロクリック検索の現状をデータで確認した上で、サイト運営者が今すぐ取り組めるSEO対策を具体的に解説します。
ゼロクリック検索とは?
ゼロクリック検索とは、ユーザーが検索エンジンでキーワードを入力した後、検索結果ページ(SERP)上の情報だけで目的を達成し、どのWebサイトにも訪問しないまま検索を終了することを指します。
たとえば、「東京 天気」と検索すると、検索結果の上部に天気情報がそのまま表示されます。「1ドル 何円」と検索すれば為替レートが表示されます。わざわざWebサイトを開かなくても、必要な情報が手に入ってしまうわけです。
ゼロクリック検索を引き起こす主な要因は以下の通りです。
■ AI Overviews(AIによる概要) … AIが検索結果の上部に回答を自動生成
■ 強調スニペット(Featured Snippet) … 質問への回答を検索結果の最上部に抜粋表示
■ ナレッジパネル … 企業や人物の情報をカード形式で表示
■ 「他の人はこちらも検索」 … 関連する質問と回答を折りたたみ表示
■ ローカルパック(地図パック) … 地域検索で店舗情報を直接表示
これらの機能が充実するにつれて、ユーザーが検索結果ページだけで満足するケースが増えているのです。
データで見るゼロクリック検索の現状
では、ゼロクリック検索は実際にどのくらいの割合で発生しているのでしょうか。複数の調査データを見てみましょう。
検索の約60%がゼロクリック
SEOツールを提供するSparkToro社の2024年の調査によると、EU市場で約59.7%、米国市場で約58.5%の検索がゼロクリックで終了しています。
また、ヴァリューズ社とnote社が2025年に実施した共同調査では、Google検索の63.5%がゼロクリックであると報告されています。つまり、検索からWebサイトに実際に訪問しているのは全体の約36%に過ぎません。
AI Overviews表示時のクリック率は8%
Pew Research Centerの2025年の調査では、AI Overviews(AIによる概要)が表示された検索において、リンクをクリックしたユーザーはわずか8%だったことが明らかになっています。通常検索時のクリック率15%と比較すると、ほぼ半減している計算です。
若年層ほどゼロクリック傾向が強い
サイバーエージェント社の調査によると、AI Overviewsや検索結果ページの情報だけで検索を終える割合は、世代によって大きな差があります。
■ 10代:73.6%
■ 20代:66.8%
■ 30代:62.1%
■ 全体平均:63.2%
若年層ほどAI Overviewsを積極的に活用しており、今後この傾向はさらに強まっていくと考えられます。
1人の訪問を得るためのコストが急増
Cloudflare社の調査では、Google経由で1人の訪問者を得るために必要なクロール数が、従来の2ページから14ページに増加したことが報告されています。
さらに、AI検索サービス経由ではその数値がさらに大きくなり、OpenAI(ChatGPT)では1,700ページ、Anthropic(Claude)では73,000ページのクロールでようやく1人が訪問する水準とされています。
ゼロクリック時代にSEOは無意味になるのか?
「ゼロクリックが6割を超えるなら、もうSEOをやっても意味がないのでは?」
そう思われるかもしれませんが、答えは「NO」です。むしろ、SEOの重要性は形を変えて続いています。
SEOの目標が「クリック」だけではなくなった
従来のSEOでは「検索結果で上位表示→クリック獲得→サイト訪問」がゴールでした。
しかしゼロクリック時代では、これに加えて新しい目標が生まれています。
■ AI Overviewsに自社コンテンツが引用される
■ 強調スニペットに自社の回答が表示される
■ ナレッジパネルで正確なブランド情報が表示される
■ 検索結果ページ上でブランド認知を獲得する
■ クリックする「価値がある」と感じさせて訪問につなげる
つまり、「Webサイトに来てもらうこと」だけでなく、「検索結果ページ上で自社の存在感を示すこと」自体がSEOの成果になりつつあるのです。
AIに引用されるためにはSEOの基本が不可欠
AI Overviewsも強調スニペットも、結局はWeb上のコンテンツを元に生成されています。AIが引用するのは、検索エンジンが高く評価しているページです。
つまり、SEOの基本(E-E-A-T、構造化データ、良質なコンテンツ)がしっかりしていなければ、そもそもAIに引用されることもありません。
SEOは「終わった」のではなく、「AIに引用されるための土台」として、むしろ今まで以上に重要になっていると言えます。
ゼロクリック時代のSEO対策7選
ここからは、ゼロクリック時代に効果的な具体的SEO対策を7つ紹介します。
対策①:AI Overviewsに引用されるコンテンツを作る
AI Overviewsに引用されることで、直接クリックされなくても「情報源としての存在感」を示すことができます。
引用されるためのポイントは以下の通りです。
■ 結論を冒頭に明確に書く
■ 「〇〇とは」に対する簡潔な定義文を用意する
■ 箇条書きや表で情報を整理する
■ 一次情報や独自のデータを盛り込む
■ E-E-A-T(経験・専門性・権威性・信頼性)を高める
AI Overviewsの具体的な対策については、「AI Overviewsとは?引用されるための7つの対策」で詳しく解説しています。
対策②:強調スニペット(Featured Snippet)を狙う
強調スニペットとは、検索結果の最上部に表示される特別な回答枠のことです。「ポジションゼロ(0位)」とも呼ばれ、通常の1位表示よりも上に表示されます。
AI Overviewsの普及により、強調スニペットが表示される機会は以前と比べて減少していますが、強調スニペット向けに最適化されたコンテンツは、AI Overviewsにも引用されやすいという特徴があります。
■ 見出し直下に2〜3文で簡潔に回答する
■ 手順系は番号付きリスト、比較系は表を使う
■ 検索結果の1ページ目(10位以内)に入ることが前提条件
対策③:構造化データを実装する
構造化データ(JSON-LD)を設定することで、検索エンジンやAIがコンテンツの内容を正確に理解できるようになります。
ゼロクリック対策として特に効果的な構造化データは以下の通りです。
■ FAQPage … よくある質問。AIの回答生成の参照元になりやすい
■ HowTo … 手順・方法。リッチリザルトとして表示される
■ Article … 記事情報。著者や公開日を明示できる
■ Organization … 組織情報。ナレッジパネルに反映される
■ LocalBusiness … 店舗情報。ローカルパックに表示される
構造化データの詳しい設定方法は「構造化データ完全ガイド」をご覧ください。
対策④:E-E-A-Tを徹底的に強化する
ゼロクリック時代では、AIが「どのサイトの情報を引用するか」を選ぶ基準がより重要になります。その選定基準の中核にあるのがE-E-A-T(経験・専門性・権威性・信頼性)です。
■ 著者情報を記事に明記し、著者ページを用意する
■ 一次情報(自社の経験・調査データ)を盛り込む
■ 専門家の監修や引用元を明示する
■ 運営者情報・会社概要を充実させる
■ 定期的にコンテンツを更新し、最新性を保つ
E-E-A-Tの詳しい強化方法は「E-E-A-Tの強化方法」で解説しています。
対策⑤:ロングテールキーワードを攻める
「SEOとは」のような単語レベルのビッグキーワードは、AI Overviewsや強調スニペットでゼロクリック化されやすい傾向があります。
一方、具体的で詳細なロングテールキーワードは、AIが簡潔に要約しづらいため、クリックにつながりやすいという特徴があります。
× 「SEO対策」 … ゼロクリック率が高い × 「構造化データ」 … AIが定義を返して終わりやすい
○ 「中小企業 SEO対策 自分でやる 手順」 … 詳細な情報が求められ、クリックされやすい
○ 「WordPress FAQ構造化データ プラグインなし 設定方法」 … 実践的な手順が必要でサイト訪問につながる
ロングテールキーワードで上位を獲得しておくと、AI Overviewsの引用元としても選ばれやすくなります。
対策⑥:「クリックしたくなる理由」を作る
ゼロクリック時代であっても、ユーザーがWebサイトを訪問する理由はあります。検索結果ページでは得られない「深い情報」や「独自の価値」を提供することが重要です。
■ 実体験に基づいた具体的な事例がある
■ ダウンロード資料やテンプレートがある
■ 計算ツールやチェックリストなどインタラクティブな要素がある
■ 専門家の見解や独自の考察がある
検索結果ページの概要だけでは伝わらない「ここでしか得られない情報」があれば、ユーザーはクリックしてくれます。
対策⑦:AI検索(ChatGPT・Perplexity)への対策も行う
ゼロクリックの影響はGoogle検索だけではありません。ChatGPTやPerplexityなどのAI検索ツールを使って調べ物をするユーザーも増えています。
これらのAI検索に自社コンテンツを引用してもらうための対策(LLMO/GEO)も、ゼロクリック時代の重要な施策です。
■ Bing Webmaster Toolsにもサイトマップを送信する(ChatGPTはBingを利用)
■ サイテーション(他サイトやSNSでの言及)を増やす
■ 情報の一貫性を保つ(サイト内で矛盾する情報を避ける)
■ llms.txtの設置を検討する
AI検索への対策については「LLMO・AIO・GEOの違いを徹底解説」もあわせてご覧ください。
ゼロクリック時代のWebサイトの役割とは

ゼロクリック検索が増える中で、Webサイトの役割も変化しています。
「訪問される場所」から「引用される存在」へ
従来のWebサイトは「ユーザーに訪問してもらうこと」が最大の目的でした。
しかしゼロクリック時代では、ユーザーが直接訪問しなくても、AIや検索エンジンを通じて自社の情報が届くという新しい価値が生まれています。
AI Overviewsに引用される、強調スニペットに表示される、ナレッジパネルにブランド情報が載る。これらはすべて、Webサイトのコンテンツが「信頼できる情報源」として認められた結果です。
訪問してくれたユーザーの価値が高まる
ゼロクリック時代にわざわざWebサイトを訪問するユーザーは、「もっと詳しく知りたい」「具体的に行動したい」という明確な意図を持った、質の高いユーザーです。
つまり、アクセス数は減っても、訪問者一人あたりのコンバージョン率は上がる可能性があります。大切なのは、そうした意欲の高いユーザーに対して、期待に応えるコンテンツとスムーズな導線を用意しておくことです。
まとめ
今回は、ゼロクリック検索の現状とサイト運営者が取るべきSEO対策について解説しました。
■ AI Overviews表示時のクリック率はわずか8%(通常の約半分)
■ 若年層ほどゼロクリック傾向が強く、今後さらに加速する見込み
■ SEOは「終わり」ではなく、「AIに引用されるための土台」としてより重要に
■ AI Overviews対策、強調スニペット、構造化データ、E-E-A-T強化が鍵
■ ロングテールキーワードと独自コンテンツでクリックされる理由を作る
■ Webサイトは「訪問される場所」から「引用される存在」へと進化している
ゼロクリック検索の増加は、サイト運営者にとって大きな環境変化です。しかし、見方を変えれば、質の高いコンテンツを持つサイトにとっては、AIを通じてより多くのユーザーに情報を届けられるチャンスでもあります。
まずは自社サイトのコンテンツが「AIに引用されるレベル」にあるかを見直し、できるところから対策を始めてみましょう。